「気分が沈んでいる状態」はこのような疾患が考えられます

気分が沈んでいる状態のイメージ画像

ストレスなどをきっかけに一時的に気持ちが沈むことは誰にでも起こりうることです。
当初は気の持ちようや性格だと思えるかもしれませんが、眠れない日が続き、苦しさが長引いて生活が回らなくなるようでしたら治療が必要です。

うつ病

脳のエネルギーが欠乏することにより、気分が沈んでしまう疾患です。
生涯で10人に1人がうつ病になるとされており、決して珍しい病気ではありません。
慢性的に憂うつな気分が続き、思考がまとまらず堂々巡りになり、身の回りのことが手につかなくなります。
多くの場合は不眠を伴いますが、過眠となる方もいます。
症状が進行すると、仕事や学業、家事などが困難となり、日常生活に大きな影響が出ます。

この病気は、脳内神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリン、ドパミンなどのバランスが崩れることで起こるとされています。
言い換えますと、うつ病は個人の性格や能力とは関係がなく「誰にでも起こりうる病気」といえます。
下表のような症状がみられたときは、お早めに当院にご相談ください。

主な症状

  • 気分が沈んでいる
  • 何をしても楽しくない
  • 何事にも興味がわかない
  • 食欲が落ちてきた
  • よく眠れない
  • 何かに追い詰められている気持ちになる
  • 失敗したときに、自分を責めてしまう
  • 自分には価値がないと感じる
  • 思考力や決断力が落ちてきた
  • 死にたくなることがある

など

うつ病の治療

休養、薬物療法、精神療法が治療の柱となります。

休養については仕事をしている方については必要に応じて休職診断書を発行いたします。
学生の方は環境調整や休学のための診断書を発行することもあります。
軽症の場合は働きながら治療することもありますが、現実には厳しいことも多いです。
経済的な不安を抱えている方も多いと思いますが、傷病手当や失業手当などの制度もありますので、担当職員が説明いたします。

薬物療法の中心となるのは抗うつ薬です。
通常は1週間~数週間で様々な症状が改善するのですが、その段階で服用を中止してはいけません。
再発を予防するため、回復してから数か月間は服用を続けることが重要です。
患者様によっては、抗不安薬や睡眠薬などを併用することもあります。

精神療法では心理的側面からアプローチし、うつ症状の改善を図ります。
限られた診察時間では難しいこともありますが、認知行動療法のエッセンスも取り入れています。
これは、物事の捉え方や問題となっている行動を見つめ直し、自分の陥りやすい思考や感情パターンに気づいて、心をうまくコントロールできるようにし、ストレスを軽減していく治療法です。

適応反応症(適応障害)

環境にうまく適応することができず、気分が沈む状態が続くため、社会生活に支障をきたす疾患です。
不眠、食欲不振、全身倦怠感、頭痛、肩こり、腹痛、めまいなどの身体症状を伴うことも多いです。

適応反応症になるきっかけとして多いのは生活環境の変化であり、強いストレスのかかる出来事が生じてから1か月以内に発症することが多いです。
新しい場所に引っ越したとき、勤務先の部署がかわったとき、転職したとき、進学したときなどが原因としてよくみられます。

なお、適応反応症になったとしても、つらい症状が常に出現し続けるわけではありません。
仕事上の問題がストレスとなって適応反応症を発症している場合、勤務する日は憂うつで意欲が出なくても、休日には症状が少し楽になったり、趣味を楽しんだりすることができます。

治療に関してはまずは原因となっているストレスを軽くするため、環境調整を行うことになります。
仕事をしている方については必要に応じて休職診断書を発行いたします。
学生の方は環境調整や休学のための診断書を発行することもあります。
薬物療法は治療の主体ではありませんが、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬などを用いることがあります。
精神療法としては、ストレスの原因に対する受け止め方のパターンにアプローチし、ストレスにうまく対処できるように極端となっている考え方を見直します。

双極症(躁うつ病)

双極症は気分が沈んで何事にもやる気が起こらなくなる「うつ症状」と、気分が高揚することに伴う「躁症状」の両方が繰り返される疾患です。
経過中の大部分がうつ症状のため、うつ病と間違われることがあり注意が必要です。

躁状態となると気分が高揚するだけでなく、イライラが強まってすぐに怒り出したり、考えが次々変わってまとまらなくなったり、予定を詰め込んだり、お金を使いすぎたりします。
振れ幅が大きいので、本人だけでなく周囲も振り回されて疲弊してしまいます。

治療としては気分安定薬を中心とした薬物療法がメインとなりますが、服用をやめてしまうと再発しやすいので注意が必要です。
表のような症状がある方は双極症の可能性があるので、まずは当院にご相談ください。

主な症状

躁状態の時期
  • 通常よりもはるかに強い気分の高揚感
  • 全身にエネルギーが満ち溢れているような気分
  • 機嫌がよく、全く知らない他人に対しても話しかけてしまう
  • 相手が寝ている時間(深夜や早朝など)でも平気で電話をかけてしまう
  • 人の意見に耳を貸さず、自分中心の行動を続ける
  • すぐに気が散って、集中できない
  • 借金をしてまで物を買いあさってしまう
  • 性的に無分別な行動をしてしまう

など

うつ状態の時期
  • 気分が沈んでしまい、何もする気が起こらない
  • 今まで好きだった趣味などにも興味が持てなくなった
  • 食事が楽しくなく、体重が落ちてきた
  • 夜は寝付けない、夜中に目が覚めてしまうこともある
  • 過去のちょっとしたでき事にも悩んでしまい、忘れることができない
  • 自分を責めることばかり考えている
  • 自殺を考えてしまう

など

双極症の治療

双極症の治療は、薬物療法が基本となります。
具体的には、気分安定薬を処方します。
このお薬には、気分が大きく上下に乱れた状態を安定させる働きがあるので、躁状態の時期だけでなく、うつ状態の時期にも使用します。
患者様によっては、薬物療法に加えて、認知行動療法などの精神療法を取り入れることもあります。
これによって物事の捉え方や問題となっている行動を見つめ直し、自分の陥りやすい思考や感情パターンに気づいて、うまく心をコントロールできるようにし、ストレスを軽減していきます。