「物事を忘れやすい」状態はこのような疾患が考えられます
ちょっとした物忘れは、誰にでも起こる日常のひとコマです。
鍵をどこに置いたか忘れる、人の名前がすぐに出てこない——そうした経験は、健康な方でも疲労やストレスの多い時期には珍しいことではありません。
しかし、今まではなかった物忘れが最近になって現れ、悪化している方、子どもの頃からの忘れ物・不注意が続いている方、については一時的な「うっかり」とは区別して考える必要があります。
最近おかしいなと感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。
認知症
認知症とは、それまで普通にできていた記憶や判断などの脳の働きが、少しずつ低下していく状態のことです。
加齢などに伴い、正常に働いていた脳が機能低下を起こし、記憶・思考・判断といった日常的な認知機能に支障が生じてきます。
症状が進むにつれて、買い物や料理、家族との会話といった日常生活がだんだんと難しくなることがあります。
次第に物事を記憶する能力や状況を判断する能力、自分がいる場所を認識する能力なども低下していきます。
さらに認知症が進行すると、外界への興味が薄れ、無気力な状態になる方も少なくありません。
実は、高齢者の約6人に1人が認知症を抱えているといわれています。
また年齢を重ねるほど発症しやすくなるため、決して珍しい病気ではなく、私たちの身近な問題です。
早期発見・早期対応によって、症状の進行を緩やかにしたり、その方の生活の質を保ったりすることも可能です。
下表のような症状が見られたときは、認知症の可能性がありますので、お早めに当院へご相談ください。
主な症状
- 何度も同じことを言ったり、聞いたりする
- 日時をよく間違えるようになった
- 財布やキャッシュカードなど、大切なものを頻繁に失くすようになった
- 大事なものを盗まれたと言って騒ぐことがある
- 金銭の管理ができなくなった
- 性格が変化して突然、怒り出したりするようになった
など
主なタイプ
認知症には様々な種類がありますが、とくによく知られているのが「アルツハイマー型認知症」です。
これは、アミロイドβなどが脳に蓄積することで神経細胞が壊れてしまい、脳の神経が機能異常を起こしてしまうタイプの認知症です。
神経細胞が死んでしまうことで、脳そのものも萎縮していき、脳の指令を受けている身体機能も徐々に失われていきます。
血管型認知症は梗塞や脳出血などにより、神経細胞への酸素・栄養供給が途絶えることで起こります。男性の有病率が女性の約2倍であることが特徴的で、小さな出血や梗塞を繰り返す中で気づかず進行するケースもあります。生活習慣の改善である程度予防が可能です。
レビー小体型認知症は、大脳皮質や脳幹に「レビー小体」という異常な細胞が生じ、脳神経細胞が破壊されます。パーキンソン症状(手足の震え・小刻み歩行)が先行することが多く、症状の日内変動や幻視が見られやすく、他の認知症より進行がやや速いとされています。
認知症の治療
認知症を完全に治す方法は確立されていませんが、ほかの病気と同じように、早期発見・早期治療が重要になります。
患者様によっては、お薬を使用することで病気の進行を遅らせることができます。
なお、意欲低下や抑うつ気分が見られる場合はうつ薬などを使用することもあります。
このほか、回想法や認知リハビリテーション、音楽療法、運動療法などが効果的な場合もあります。
ADHD(注意欠如・多動症)
ADHD(注意欠如・多動症)とは「集中しにくい」「じっとしていられない」「衝動的に動いてしまう」という特性を持つ神経発達症です。
これらの症状は子どものころから認めますが、子ども時代にADHDだった方の約70%は大人になっても何らかの症状や生活のしづらさを感じ続けています。
子どもの頃は「授業中に集中できない」という形で現れていた不注意が、大人になると仕事や日常生活に深く影響してきます。
たとえば、仕事の締め切りをたびたび守れない、書類の細かいミスが多い、大切な約束や支払いを忘れてしまうといったことです。
また、気が乗らない作業の先延ばし、財布・鍵・スマートフォンなどをしょっちゅうなくす、話を最後まで聞いていられないといったこともしばしば見られます。
一方で、自分の興味があることには驚くほど長時間集中できる「過集中」という状態になることもあります。
よく考えずに仕事を突然辞めてしまう、衝動的にお金を使いすぎる、会話の途中で口を挟んでしまう、といった衝動性が目立つ方もいます。
ADHDの治療には環境の整備、時間の使い方の工夫、心理的なサポート、そして薬物療法の四つの柱があります。
どれか一つで全てを解決しようとせず、自分に合った手段を組み合わせることが大切です。
ADHDを疑う症状で生活にお困りでしたら当院にご相談ください。

