「眠れない」状態はこのような疾患が考えられます

「眠れない」のイメージ画像

「なかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」――そんな悩みを抱える方は、実は日本人の5人に1人にのぼります。
不眠は単なる寝不足ではなく、放っておくと糖尿病・高血圧・心筋梗塞、さらにはうつ病や認知症のリスクが高まることが研究で分かっています。
また、睡眠不足による日本全体の経済的な損失は年間約15兆円とも試算されており、社会全体の大きな問題にもなっています。

不眠症(睡眠障害)

眠れない原因は主に五つあります。
痛みやかゆみなどの身体的な病気、時差ぼけや夜勤による生活リズムの乱れ、仕事や人間関係などのストレス、うつ病・不安症などの精神疾患、そしてカフェイン・アルコール・一部の薬による薬剤の影響です。
寝酒は一見眠りを助けるように感じますが、実は睡眠の質を下げることがわかっていますので注意しましょう。

上記の原因に当てはまらず十分な時間があるのに眠れない状態を原発性不眠と言います。
「なかなか寝つけない(入眠障害)」「夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)」「朝早く目が覚めて眠れない(早朝覚醒)」「眠った気がしない(熟眠障害)」の四種類があり、重なって現れることもよくあります。

原発性不眠の治療としてまず推奨されるのは、不眠の認知行動療法(CBT-I)です。
薬と同等以上の効果があり、治療後も効果が長続きするのが大きな強みです。
生活習慣の改善と並行して取り組むことが大切です。

認知行動療法だけでは不十分な場合に薬物療法が加わります。
古くから使われてきたベンゾジアゼピン受容体作動薬(ゾルピデム・ブロチゾラムなど)は即効性がある一方、転倒リスク・翌朝の眠気・記憶への影響・依存性などの副作用があり、漫然と飲み続けないことが重要です。
また、自己判断で急に止めると離脱症状が出ることがあるので、必ず医師に相談して減薬してください。

体内時計を整えるメラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)は依存性や持ち越しが少なく安全性が高い薬ですが、効果が現れるまで数週間かかります。

近年注目されるオレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント・レンボレキサントなど)は脳を「覚醒状態に保つ物質」の働きを抑えて自然な眠りに導きます。
転倒リスクや依存性がベンゾジアゼピン系より少なく推奨されます。

レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)

夕方から夜にかけて脚に不快な感覚が起き、脚を動かすと楽になる――これがレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)です。
鉄分不足との関連が強く、鉄剤の補充だけで改善する場合もあります。
必要に応じてドパミン作動薬などで治療します。

睡眠時無呼吸症候群

大きないびきや夜間の呼吸停止、日中の強い眠気が主な症状です。
放置すると高血圧・心臓病・脳卒中のリスクが高まります。
治療の基本は体重管理・禁酒・禁煙です。
中等症以上では、鼻マスクで気道を開き続けるCPAP(シーパップ)療法が標準治療で、毎日4時間以上の継続使用で心血管リスクを大幅に下げる効果が示されています。
なお、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は無呼吸を悪化させることがあるため注意が必要です。