- 2026年6月28日
音楽活動で認知症を予防

私たちは日常の様々なシーンで音楽を楽しんでいます。今回は何気ない音楽活動が私たちの脳の健康を守ってくれることが明らかになった研究を紹介します。
オーストラリアのモナッシュ大学などの国際研究チームが発表した調査によると、70歳以上の健康な高齢者1万人以上を約10年間にわたって追跡した結果、音楽を日常的に楽しむ習慣がある人はそうでない人に比べて認知症の発症リスクが大幅に低いことが判明したのです。
今回の研究で最も注目すべきは単に音楽を聴いているだけでも脳に対して非常に強力な保護作用が見られたという点です。研究データによると日常的に音楽を聴く習慣がある人はほとんど聴かない人に比べて、なんと認知症の発症リスクが39%も低下していました。さらに、認知症の前段階とされる軽度認知障害になるリスクも17%抑えられていたのです。長期間の追跡調査でも音楽をよく聴く人たちは記憶力や全体的な認知機能のスコアが良好に保たれていました。
ちなみに楽器を日常的に演奏する人のリスク低下は35%、「聴く・奏でる」の両方を日常的に行う人のリスク低下は33%という結果が出ており、いずれのアプローチも脳に良い影響を与えていることが分かります。
では、なぜ音楽がこれほどまでに脳の健康を守ってくれるのでしょうか。研究チームは、音楽が持つ脳の広範囲を刺激する力に着目しています。
私たちが音楽を聴いたり奏でたりするとき、脳の中では記憶を司る部分だけでなく感情、注意、そして運動機能を司る領域までが同時に活性化します。このように脳全体で複雑な処理がシームレスに行われることで、脳の神経ネットワークが新しく作られたり強化されたりします。これが脳の防御力を高め、年齢とともに衰えがちな認知機能をバックアップしてくれると考えられているのです。
さらに興味深いことにこの音楽による恩恵は学校教育を長く受けたグループ(教育年数16年以上)でより劇的に現れることが分かりました。このグループにおいていつも音楽を聴く習慣がある人の認知症リスクは最大で63%も低下していたのです。元々脳のネットワークを活発に使っている人ほど、音楽という刺激が加わることでその防御力が何倍にも跳ね上がる可能性を示唆しています。
朝の準備中にラジオから流れる音楽に耳を傾ける、散歩中にお気に入りのプレイリストを聴く、あるいは昔弾いたピアノやギターをもう一度弾いてみるなど、ぜひ今日から生活の中に音楽の流れる時間を作ってみてはいかがでしょうか。
