- 2026年7月30日
「囲碁」を通じたコミュ二ケーションと心の支援

こんにちは。上飯田ねむの木こころクリニックの公認心理師です。
当院のショートケアではプログラムの一つとして囲碁を取り入れています。囲碁を取り入れている理由は単にゲームを楽しむためだけではなく、囲碁を通して広い視野で物事を見る力や、相手の一手の意味を考える力を育み、それらを日常生活にも生かしていただきたいと考えているからです。
ショートケアに参加される方の多くはそれぞれ悩みや生きづらさを抱えています。囲碁では一つの局面だけを見ると苦しい状況でも、盤面全体を見渡すと活路が見えてくることがあります。また、一つの石を手放すことで、より大きな利益につながることもあります。
私は公認心理師としてこのような囲碁の思考は生活においても役に立つと感じています。「広い視野を持ちましょう」と直接伝えるよりも、囲碁という体験を通して気づいていただく方が自然に受け入れていただけるのではないかと考えています。
先日、学生を対象とした夏のコミュニケーション講座で囲碁のルールを説明しました。高校生だったこともありルールの理解が早く、すぐに対局を楽しめるようになりました。
対局後の振り返りでは心理教育の視点を取り入れました。石をあえて捨てて別の場所に打つことができた場面では広い視野で判断できていたこと、相手の石を冷静に取り切った場面では状況を落ち着いて見極める力があったことなどをそれぞれの思考や判断の良さを言葉にして伝えました。
心理面談では思考を評価することもありますが、囲碁を通して間接的に思考を評価することは受け入れてもらいやすいと考えます。参加者の一人から「自分では言語化できないことを囲碁を通して言語化してもらえてとてもよく分かりました」という感想をいただきました。
この言葉を聞いて囲碁は単なるゲームではなく自分自身の考え方や行動パターンを振り返り、言語化するための優れたツールになり得るのではないかと改めて感じました。私は心理学も囲碁も学び続けている途中ですが、とても相性の良い分野なのではないかと思っています。
当院では今後もお一人お一人に寄り添い、皆様が自分らしい考え方や強みに気づくことで、充実した日常生活を過ごせるよう支援を続けていきたいと考えています。
