- 2026年3月5日
多くを語らない方の診察

診察であまり語らない方の多くは「助けてほしい」という気持ちを抱えながらも同時に「おかしいと思われるのではないか」という怖れも持っています。そのため診察室で無愛想に押し黙ったり、逆に一見元気そうに明るく振る舞ったりすることも少なくありません。しかしクリニックに来たこと自体が助けを求めているサインともいえます。
待合室での様子は診察室に入る前からすでに多くのことを教えてくれます。過剰なほどべったり寄り添っている親子、まるで他人のようにそっぽを向いて座る夫婦、激しい言葉をぶつけてくる娘をまるで幼い子に話しかけるようになだめる母親、逆に周囲が凍りつくほど高齢の親を激しく叱りつける息子などです。こうした何気ない光景のひとつひとつが診察室での言葉の裏に隠れているものを映し出してくれます。
また出勤前になると決まってお腹が痛くなるといった症状は、周囲からするとわざとやっているのではと感じてしまうことがあるかもしれません。しかし大切なのは症状が本物かどうかを見極めることではありません。そのような形でしか自分のつらさを伝えられないということ自体に苦しさが表れているのです。「わざとらしさ」をおおらかに受け止め、その裏にある心のSOSに気づいて寄り添うことを大切にしています。
上飯田ねむの木こころクリニック(仮称)
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