• 2026年1月18日

どこまでが性格でどこからが病気か?

「性格なのか、病気なのか分からないんです」とは心療内科や精神科ではとてもよく聞かれるお悩みです。性格と病気の境界を判断することは、山と平地の境界に線を引く作業に少し似ています。8合目(誰が見ても調子が悪い状態)は迷わず病気と判断できる一方で、1合目(その人らしさにも見える揺れ)では「治療が必要な状態」と呼ぶべきか判断が難しいこともあります。

一時的な不調と病気の違い

たとえば失恋して一時的に落ち込むことは多くの人に起こりうる自然な反応です。一方で別れた後に眠れない日が続き、「死にたい気持ち」が1カ月以上続くなど苦しさが長引いて生活が回らなくなると、性格や気の持ちようだけでは説明しきれない可能性があります。

病気と判断する目安

では、境界線を引くときに何を見るのでしょうか。わかりやすい目安は、本人の苦痛が強いか、仕事や学業、対人関係など日常生活の機能に支障が出ているか、それが一時的ではなく続いているかの3点です。また性格の問題に見えやすいパーソナリティの偏りでも、本人や周囲に大きな苦痛をもたらしたり、仕事や人間関係がうまく回らなくなっていたりするときは、医療の対象として扱われます。

診断基準の意義

もう一つ大切なのは「病気の範囲は時代や文化で動く」という視点です。かつて精神疾患を原因(身体因・心因・内因)で分類しようとしていた時代から、現在は症状の組み合わせで診断をそろえる操作的診断基準へと軸が移ってきました。背景には、原因がはっきりわかる精神疾患がまだ少ないこと、国や医療者で診断が揺れると研究や治療の発展に不都合だということがあります。つまり診断は決めつけではなく、共通言語としての道具でもあります。

受診の目安

気分の落ち込みや不安などが性格かもと思えても、つらさが強い、生活が崩れている、数週間以上続く、のどれかが当てはまるなら、医療機関に相談する価値があります。考えや行動の幅を取り戻す、再発を防ぐといった生活を取り戻す支援を行うことができます。

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